書活

本を読んで「思い」をつづります

ギフテッド 脳力の違い

太陽を創った少年:僕はガレージの物理学者

★★★★☆

【脳力】
少年は没頭できるマニアですが、オタクぽくはありません。
コミュニケーション能力が高いマニア、完璧です。

少年は没頭力が尋常ではなく、没頭して結果を出しています。しかも、ものすごくスピード感があるので没頭から結果までが短く、途中リタイアがないので達成感を次から次へと味合うことができています。しかもすごいところは内容のレベルが高いということです。常に前へ前へ進んでいる感があります。

最近あまり没頭できないように思いますが、昔はある程度没頭すればそれなりに結果が出たので満たされ感があったように思いますが、最近はちょっとやそっとの没頭では結果までたどり着けない状態です。したがって途中であきらめてしまい、達成感を味合うことができてないように感じます。(私事)

 

達成感
この達成感を比較的簡単に得られるのが、長距離走と山登りです。
ラソンに代表される長距離走はやることはすごくシンプルで特殊な技量を要しません。ひたすら足を交互に動かすだけで、それが何時間も続くだけです。誰でもできる動作で、特殊な練習もなくすることができる動作です。後はひたすらがまんして続けるだけで達成感を得られます。
途中で膝が痛くなる、ふくらはぎ、足首、股関節が痛むなどの故障が発生しなければ、誰でも簡単に味わえる達成感です。
ラソンをする人には少なからずこれがあると思います。すごいことは到底できないが、簡単なことを繰り返しているだけ(本当は繰り返しをつづけることも難しいのですが)で達成感を得ることができます。
この達成感というものは、正直ものずごく気持ちいいものです。

サッカーやテニスのようにある程度練習をしてからでないと達成感を味わえないものとはことなります。
こんな言葉はあまりよくないですが、「バカ」でもできるものです。ちなみに、わたしも10kmマラソンを走ったりしています。こんな簡単に達成感を味わうことができて、まわりからも少しだけ「すごーい」のまなざしで見られ優越感に浸れるものはありません。この達成感の気持ちよさが脳にこびりつき、やめられなくなるものだと思います。

ただ、本当にすごい人は単純な作業をひたすらすることで達成感を得るのではなく、単純でないことで達成し、達成感を得て、また新しいことにチャレンジして達成し、どんどん達成感を満たしていきます。これができるこの少年もすごい人です。凡人のように単純なことを繰り返しているだけの行動ではものたりない人だと思います。
凡人には簡単にできることを繰り返し行うようなことでしか、達成感を味わうところに到達できません。

ここに差があると思います。本当にすごい人は長距離も走りませんし、山登りもしません。もっと楽しく達成感を味わえることが目の前に存在しており、本当に達成してしまうのです。

 

脳力
スポーツは出来不出来により、早い段階(小学生あるいはその前)からクラス分けをされるのですが、学術的能力(脳力)で分けることはしません。それをしてしまうと批判が殺到します。大学受験になり、やっとどの大学に受かるかで差がでますが、それまでは差をつけないようにしています。

脳の出来不出来は、身長が高い、低いの遺伝よりも遺伝確率が高いと聞きます。そうすると産まれた段階でどうあがいても脳のレベルでは勝てないことになります。出来のいい脳、悪い脳が産まれた瞬間に決まっているということになります。ただ、それを言ってしまうと身も蓋もないので言えないということです。
ただ、脳のレベルが高い、低いは脳の処理能力の高さを示すものだと思いますので、処理能力が低い人は何もできないということではありません。

処理能力が高いコンピュータが何でもできるわけではないのと同じです。
処理能力が高いコンピュータでも、野球やサッカーもできませんし、鬼ごっこすらもできません。油絵を描くこともできませんし、絵を見て感動もできません。小説を書くこともできないし、話をして人を笑わせることもできないのです。しかし、恐ろしく処理速度は速いということです。

人が他の動物と異なる優れた部位、それが脳みそです。人は足が速いわけではなく、腕力が強いわけでもない、空を飛べるわけでもない、鋭い牙も生えていない、嗅覚が優れているわけでもなく、毒も持っていない。しかし発達した脳みそを持っています。それが最大の武器になります。その武器を活用することにより他の動物を抑えて生物界の頂点に立っています。
同じ種族の範囲でも足の速いチーターもいれば遅いチーターもいます。首の長いキリンもいれば短いキリンもいます。一番の武器も個体差があります。人もその最大の武器である脳レベルが高い人と低い人がいても不思議ではありません。

 

天才の幸せ
天才の中の天才は数学者と言われますが、必ずしも幸せではありません。天才的脳を持っている数学者は100年先を思い描いています。残念ながら100年先のことを説明されても、凡人には全く意味が理解できません。そして天才数学者は誰とも意見が合わず孤独になります。孤独になって一人でも全然問題ないという人もいますが、世の中と全くかみ合わない、誰一人理解してもらえない孤独は耐え難いものがあります。
インターネットやSNSが存在する現在では世界中に発信するすべがあるため、昔に比べれば理解してもらえる確率が高まっていると思います。世界中に発信できれば一人ぐらい理解してくれる人がいるかもしれません。一人でもいれば、まだ孤独感はなくなるのですが、飛び抜けた天才数学者の場合、世界中の誰一人共感してくれる人がいないこともあります。極度の孤独に襲われ、精神が壊され早くして亡くなって行きます。
脳レベルが高くても幸せになれるとは限りません。

この少年もギフテッドに値するとは思うのですが、ギフテッドにも幅があります。変な言い方ですがギフテッドの範疇に入るが、その中の下の方が一番丁度いいような気もします。

 

(ギフテッドにほど遠ーーーい人間が言うな!)